中国デベロップメントフォーラム2012での、ラガルドIMF専務理事のスピーチ(全文)
China Development Forum 2012 : Luncheon Address by Christine Lagarde, IMF Managing Director, Beijing, Sunday, March 18
http://www.imf.org/external/np/speeches/2012/031812.htm
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これは、3/18北京で開催された中国デベロップメントフォーラム2012昼食会での、クリスティーヌ・ラガルドIMF(国際通貨基金)専務理事のスピーチ全文です。(出典:IMFのプレスリリース)
概要を順にご紹介して参ります。3つのパートと締めの一言に分かれています。
最初は、世界経済についてのコメント。
世界経済は昨年11月頃に比べて、かなりの好転が見られる。
特にヨーロッパでは、各国政府、中央銀行の政策が有効に機能しつつあり、暗雲の立ち込めていた経済情勢に変化が見られる。
金融市場も少しずつ沈静化しており、直近の経済指標は上向きになりつつある、特に米国においては。
ただし、政府、民間とも債務レベルは依然として高く、失業率も下がっていない、金融システムも脆弱だ。更に、原油価格の高騰が新たなる脅威となりつつある。
経済情勢の逼迫については先進国、特に欧州諸国が震源地と言える、しかしその対策は正しい方向に向いている。ただし、発展途上の新興国の責任も大きくなっている。
続いて、中国経済についてのコメント。
こうした中、中国は素晴らしい成長を記録してきた。
ナポレオンが200年前、「中国は眠れる巨人である。この国が起き上がったら、世界を驚かすであろう。」と言った。その通りだった。中国はこの30年で、GDP世界第2位になるという、すばらしい発展を遂げた。
世界の20%の人口を抱える中で、何百万人もの人が貧困から救われたという、この中国の人たちが実現した経済成長は、各国が見習うべきものと言える。
更に続いて、中国に対して望むことについてコメント。
このように素晴らしい成長をしてきた中国に対して、望むことが、大きく3つある。
(1)内需の拡大
中国の第12回五ヶ年計画でもこの点が強調されているが、中国国内の内需に支えられた経済成長を実現すること。
(2)国民所得の拡大と均等社会の実現
より均等な社会を作り上げることは、更なる経済の安定と、持続的成長を実現してくれるもの。これを、早急に実現してほしい。
(3)金融システムの改革
中国の金融システムが経済成長を支えられるようになること、不安定なものにしないことが大切。中国の経済規模に見合うよう、人民元が国際準備通貨というステータスを得ることも、必要ではなかろうか。
そして、最後に締めの一言。
IMFの中における中国の役割、リーダーシップは大きくなっている。
それは人的な面でも極めて大きい、として中国の副専務理事朱民氏ほかの貢献を絶賛していました。
1月のダボス世界経済フォーラム(WEF)でも、中国に対する注目度の高さを報告しました。
世界経済の現状についてのコメントも注目に値しますが、それと同時に、これからの中国の役割を再認識させるスピーチとして、印象に残るものでした。
実は、ちょうどこの記事を書き終えたところで、テレビでIMFラガルド専務理事の報道が流れていました。
当たり前かもしれませんが、内容はこの記事の最初の1/3部分だけ。
IMF専務理事が、世界経済に強気の見通しを出したというものでした。
グローバル人材はもちろんのこと、メディア・リテラシーの重要性を感じた一幕でしたので、付記致します。
GlobalBISCUE @BISCUE総合研究所
http://www.biscue.net/
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